落語、明烏(あけがらす)のあらすじと内容解説


落語、明鳥(あけがらす)のあらすじ

謹厳実直の堅物で知られる、日向屋半兵衛の倅時次郎。
あまりにもまじめすぎるので、新父が
「商人というものはこの世の表ばかり知っていても何もならない。
遊びの1つもして裏を知っていなけりゃあ、お客様のおもてなしもできないよ」と心配する。

すると時次郎から意外な答え。
「源兵衛と太助に大層はやるお稲荷様があるのでお参りしないかと誘われたので、行ってもいいか」と言う。
実は親父が一計を案じ、吉原で遊ぶようにあらかじめ町内でも評判の遊び人の源兵衛に頼んでおいたのである。
浅草の稲荷ならお籠りをするようにと勧めた。

「お賽銭が少ないとご利益がないので、たっぷりもって行きなさい。
途中で中継ぎといって酒の相手をするんですよ。
手を叩いて勘定というのは野暮だから、程のいいところで、おまえが裏ばしごからはばかりへ行くふるをして降りていって、全部の勘定を済ませてしまうんだよ。
割り前なんかもらっちゃいけない。
相手は札付きの悪だ。
割り前なんか取ったらあとが恐い」

何も知らない時次郎は二人に連れられて吉原の茶屋へ行く。
時次郎が厠に立った隙に、お茶屋の女将に事情を話し、ここはお巫女の家にしてくれ、と因果を言い含めておいた。


厠から還った時次郎が
「今晩は三人でお籠りに上がりましたのでどうぞよろしくお願い申し上げます」
と挨拶するので、女将は吹き出しそうになるのをこたえ、送り出した。
見世に上がると、文金や立兵庫などの髪型をした女がしゃなりしゃなりと草履を履きながら歩いているのを目の当たりにし、さすがの時次郎もここが郭だとわかった。

だまされたと市ってうちに帰りたいと泣き出したのだが・・・、源兵衛たちは
「吉原の出入りは大門一箇所しかなくて、門脇には何人入って何人出て行ったか、帳付けをする男がいて、絶えず見張っているんです。
三人で入ったのに一人で帰れば、大門で怪しめられて、二年でも三年でも止められる」
と脅かした。

その晩、時次郎には浦里という絶世の美女がつきっきりで寄り添い、とろけるようなサービスをした。
源兵衛たちは相方に振られ、翌朝、ぼやきながら甘納豆をやけ食いし、時次郎の部屋に行き、そろそろ起きて帰ろうと促すが、なかなか寝床から起きてこない。

「花魁は口では起きろと言ってますけれど、布団の中ではあたしの手をぎゅーっと握ってはなしません」
とノロケを聞かされた太助は頭に来て、甘納豆を持ったまま階段から落ちてしまった。

「じゃあ若旦那、あなたはひまな体なんだ」と源兵衛。

「まあ、ゆっくりあそんでらっしゃいよ。あっしたちはこれから仕事に行くので先に帰りますから」
「あなた方、先に帰れるもんなら帰ってごらんなさい。大門で止められる」


落語、明鳥(あけがらす)の解説

八代目桂文楽が二つ目時代に三遊亭志う雀から教えを受けた。
習った当時の演出はかなり色っぽいものだったが、40数年をかけて噺を練り上げ、親父が倅を心配する親子の情を細やかに演じ、登場人物の仕草を丹念に表現し、上品な廓噺に仕立てた。
とりわけ、甘納豆の食いっぷりが絶品と言われる。
戦後は文楽以外やり手がいないほどの18番になった。

時代は明治半ば、親父は前身が蔵前の札差で、維新後に日本橋田所町に問屋を開業して大成功した金持ちの大地主という設定になっている、

八代目桂文楽以外では、文楽直伝の古今亭志ん朝が十八番にしていた。
文楽の太助は甘納豆を食っていたが、志ん朝は梅干しをつつき、砂糖をつけて口に運び、その種を源兵衛の顔にぶつけるという設定にしていた。


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