保健医療サービスとは、ステークホルダーとその関係、連携について


保健医療サービスとは、ヘルスケア(health care)の訳で、治療や看護などの医療サービスと移送や家事援助などの社会サービスから構成されます。
疾病構造が感染症から慢性疾患、高齢者医療に変化するとともに、保健医療サービスはキュアからケアへ総合的なケアが求められ、患者の退院とともに、「生活」を支える地域の関係機関・多職種が連携する保健医療福祉のケアシステム、ネットワークが始動しています。
これまでの医師、看護師などの医療専門職に加えて、社会福祉士や精神保健福祉士などの社会福祉専門職が参加する意義はそこにあり、良質で適切な保健医療サービスの実現に不可欠となっています。

医療法は、保健医療サービスの目標について、下記のように規定しています。


「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。」

そして、保健医療サービスが提供される場についても、
「医療は国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、病院、診療所、介護老人保健施設、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設、医療を受ける者の居宅等において、医療提供施設の機能に応じて効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない」
と明記しています。

ここで強調されていることは、これまでの医療の担い手に適度に依存したパターナリズムの医療からの脱却であり、国民・患者自らが健康の保持・増進に参加する新しい保健医療サービスの追求です。
そして、医療提供施設完結型の閉鎖的なサービス体系を改め、患者の「居宅」も医療提供の場に加えることによって、地域完結型の開放的なサービス体系の構築が求められるようになりました。
こうした開放的な保険医療サービスの実現には、それぞれの医療提供者、施設の機能の明確化、文化と、効率的な連携が必要になります。


保健医療サービスのステークホルダーは、被保険者、保険者、保健医療機関、審査支払機関の4者からなります。
すなわち、通常国民は「被保険者」として国民健康保険や組合健康保険などの「保険者」に保険料を支払っておきます。
そして、ひとたび病気になると「患者」として「保健医療機関」を受診して、診察・投薬などの保健医療サービスの提供を受けますが、医療機関窓口での支払は医療保険の存在によって2割や3割などの一部負担金で澄みます。
このため保健医療機関は、一部負担金を除いた残りの費用を、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会といった「審査支払機関」に診療報酬として請求し、請求書は、審査支払機関の審査を経て、各保険者ごとにまとめられて保険者に送付されます。
これをもとに保険者は請求金額を審査支払機関に支払い、審査支払機関はこれを各保健医療機関に診療報酬として2ヵ月後に支払うシステムとなっています。

保健医療サービスのこうした体系の下で、すべての医療問題を整理することができます。
例えば、保険料や一部負担金の引き上げという財政問題は、被保険者ー保険者ー保険医療機関の関係のなかでとらえることができます。
また、診療報酬引き上げという保健医療サービスの価格の問題は、患者ー保険医療機関の関係として考えることができます。
そして、医療機関の機能分化、連携や在宅医療、地域ケアの展開も、保健医療サービスの質と効率の向上をめぐる患者ー保険医療機関、その他の新しい関係構築と考えることができます。
こうしたステークホルダー間の利害調整によって、よりよい保健医療サービスが実現します。


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