オペラ「トスカ」のストーリーと聴きどころを解説


トスカ 全三幕 プッチーニ作曲 1900年初演

オペラ「トスカ」のストーリー

1800年のローマ。
貧しい境遇から身を起して人気者になっている歌姫トスカは、画家で共和主義者のカヴァラドッシと熱愛中。
だがトスカに横恋慕する悪辣な警視総監スカルピアは、カヴァラドッシを政治犯として捕まえ、彼の命を助けたければ自分のものになれとトスカに迫る。
トスカは泣く泣く要求に屈するが、ふと目にしたナイフで衝動的にスカルピアを殺害。
だがスカルピアが、銃殺刑の弾を空弾にしてカヴァラドッシを助けると約束したのは嘘だった。
カヴァラドッシの刑は執行され、絶望したトスカは身を投げる。


オペラ「トスカ」の聴きどころ

第一幕:カヴァラドッシのアリア「妙なる調和」第一幕フィナーレ「テ・デウム」
第ニ幕:トスカのアリア「歌に生き、恋に生き」
第三幕:カヴァラドッシのアリア「星は光りぬ」

トスカは絶大な人気を誇るオペラのひとつです。
ストーリーはかようサスペンス劇場のようですが、それも人気のひとつとなっています。
トスカのように最後まで先が読めず、気をもませるオペラは少ないでしょう。
それは、ストーリーがリアリズムに富んでいて、受け入れられやすいということでもあります。

基本は男女のラブストーリーなのも分かりやすい理由の1つです。
とくに女性にとっては、トスカという役柄はとても感情移入しやすいのではないでしょうか。
人物に感情移入できることも、人気オペラのひとつの要素でしょう。

「ヒットメロディ」にも事欠かず、トスカのアリア「歌にいき、恋に生き」や、カヴァラドッシのアリア「星は光りぬ」は、曲名は知らなくとも、聞いたことがあるメロディではないでしょうか。

プッチーニは一般に、「うまい」作曲家として知られています。
彼のオペラは、男女のメロドラマを中心にした分かりやすいストーリーと、うっとりするようなメロディで歌われるアリアが売りです。
オーケストラの扱いも巧みで、とても聴きやすくなっています。


たとえば、トスカの冒頭には序曲や前奏曲がなく、強烈な不協和音が鳴り響きますが、これは敵役の警視総監、スカルピアを暗示するテーマです。

劇中でスカルピアに関係する部分では、このテーマがいろいろに形を変えて聴こえてきます。
カヴァラドッシがスカルピアの名前を口にする場面や、第二幕でスカルピアが殺された後の幕切れなど。
こうやって音楽が、知らず知らずのうちに聴き手のなかにトスカという作品の像を刷り込んでいきます。

このような方法は、かなり前からオペラに存在していましたが、ワーグナーによって徹底的に開拓されました。
プッチーニはワーグナーの音楽に感動し、吸収して自分のものにし、自分なりのやり方で彼のオペラに取り入れたのです。

もちろんプッチーニはワーグナーだけでなく、ヴェルディらイタリア・オペラの先輩や、ビゼーやマスネ、ドビュッシーといったフランスの作曲家たちからもいろいろ学んだのだが、彼が天才である理由はそれをすべて自家薬籠中のものにしているところでしょう。

ところで、第二幕の名アリア「歌に生き、恋に生き」は、恋人の命か貞節かとスカルピアに迫られ、絶望したトスカが、神に救いを求める内容のアリア。
名曲中の名曲ですが、初演当時は、「こんな緊迫した場面で、こんなに能天気なメロディを歌うのはドラマにそぐわない」という批判もあったそうです。
けれどこのアリアがあるから、聴き手もほっとすることができます。
それもまた、プッチーニの天才のなせる技なのではないでしょうか。


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